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耐摩耗性 表面処理(目的・性能別検索)

使用例 搬送ガイド、レール、配管内径(ベンド管)、シャフト、スリーブ、ノズル、ポンプケーシング、ロータリーバルブ、粉砕刃、ガイドロール、回転体摺動部等

〈目次〉
1,選定のポイント
2,製造現場で起きうる摩耗とその提案例
3,耐摩耗性向上のメリット
4,お勧めの加工技術
5,複数機能(目的)に適した加工技術
6,ソリューション事例
7,蒲田工業をご利用いただくメリット

「耐摩耗性」選定のポイント

耐摩耗性を求められる場合、対象母材(基材)との密着性、摩耗の原因となる接触物や搬送される物との硬度差、素材同士の相性、使用環境の温度などによって、選定すべき表面処理は異なります。実際の使用条件に近い形でテストをしながら、耐摩耗性が付与できる表面処理の選定を推奨いたします。

〈注意点〉 ・ 表面の硬度を上げるだけでは耐摩耗性を高められない場合があります。摩擦によるざらつき摩耗やスラスト摩耗が原因の場合は、違う観点から表面処理を検討する必要性があります。
・ 高価な表面処理が耐摩耗性に優れているとは言い切れません。

また、複数の目的が求められることも挙げられます。
耐摩耗性を確保しながら、滑り性をさらに向上させることで製品の流動性が向上し、かつ摩擦がかかる摺動摩耗を低減させたい場合など、複数の目的によって選定すべき表面処理は異なります。お気軽にご相談ください。

製造現場で起きうる摩耗とその提案例

【Point1】ピストン、シリンダー、メタルベアリング、ギアなどでよく発生する「すべり摩耗」の耐摩耗性向上の提案例

DLCコーティング」に下地処理として「硬質クロムめっき処理」を複合される複合表面処理等が挙げられます。
一般的なDLCコーティングは耐摩耗性に優れていますが、対象母材(基材)との密着性が悪いため、使い方によって剥離してしまって採用されない場合があります。
上記課題を解決するには、下地処理として「硬質クロムめっき処理」を複合される方法を用いられることが多いです。

〈注意点〉 対象物の形状によりますが、硬質クロムもDLCも凹部には成膜されない、もしくは薄膜になってしまう場合があります。
それぞれの課題を解決しながら、実際の使用環境にあわせて選定することが求められます。

【Point2】シャフトなどの回転物でよく発生する「転がり摩耗」の耐摩耗性向上の提案例

超硬金属溶射」いわゆるタングステンカーバイト溶射が候補に挙げられます。
超硬金属溶射は高速フレーム溶射ガンを用いて、超硬合金(タングステンカーバイド)粉末を音速超える速度で対象母材(基材)に衝突させて成膜する技術です。特に耐摩耗性や密着性に優れています。厳しい使用環境でも採用されることが多いです。

〈注意点〉 対象物の形状によりますが、死角になる箇所には溶射できない場合があります。溶射後はザラメとなり、膜厚として0.2~0.3mm程度となりますので溶射後は研磨など行い寸法精度を出すことが求められます。
また、超硬金属溶射は比較的にコストが高い表面処理のため、費用対効果を把握した上で選定することをお勧めします。

【Point3】「衝撃摩耗」の耐摩耗性向上の提案例

固体表面間の繰り返し衝突によって材料表面に生じてしまう損傷のことで、表面処理で解決させるにはさまざまな条件の確認が必要となります。
同種材による繰り返しの衝撃や往復運動ではかじりや焼き付きが発生してしまいます。
母材が塑性変形してしまうような衝撃をバリアできる表面処理は数少なく、一般的に、母材そのものを熱処理や窒化処理などで硬化させることが挙げられます。

【Point4】リベット・ボルト締結部によく発生する「フレッチング摩耗」の耐摩耗性向上の提案例

繰り返しの往復運動などに対して、表面処理の密着性や膜の緻密性、浸蝕性などが求められてきます。
※フレッチング摩耗:接触する二物体間に微小な往復滑りが繰返し作用したときに生じる表面損傷のことで、赤錆が発生すること多いです。

【Point5】ポンプやタービンのプロペラが高速運動するときよく発生する「キャビテーション摩耗」、「エロージョン摩耗」の耐摩耗性向上の提案例

ダイクロンコーティング」などが挙げられます。
ダイクロンコーティングはキャビテーションによる損傷やエロージョン摩耗から母材を守り、優れた防護効果を持つ技術です。
また、同様に耐摩耗性に優れている「硬質クロムめっき処理」と比較し、2倍近く耐久性が高い(条件により多少変わります)がありますので、採用されることが多いです。

※キャビテーション摩耗:液体の加速・高振動で気泡が発生し、固体表面に衝突し摩耗が発生してしまいます。
※エロージョン摩耗:気体や液体に、硬い固体粒子が含まれて、それが衝突することで材料表面が損傷、摩耗する現象。

【Point6】使用中の表面処理加工技術よりも、耐摩耗性向上させたい場合

1種類の表面処理での耐摩耗性向上に満足されていない場合、更なる耐摩耗性を向上させるため、2種類以上の表面処理を表面に加工すること、または他のコーティングを推奨させていただきます。

お問い合わせを頂いた際に、まず既存の表面処理加工技術(コーティング)が使用用途や環境に適切かを見極めるため、詳細を教えていただくことがあります。
その上で違う表面処理のご提案ができたり、既存の表面処理をベースに下地に硬化処理を入れる、もしくは違う表面処理に置き替える、などご提案しますので、お気軽にご相談ください。

耐摩耗性向上のメリット

1,母材の耐久性が飛躍的に向上。
(対象母材・基材に合う耐摩耗性の表面処理種類の選定が必要)
2,焼き付きから母材を守る効果。
(表面を平滑にして摩擦係数をさげて抵抗を減らすなどの加工も必要)

お勧めの表面処理加工技術

表面処理加工技術の特性一覧表はこちらから

複数の機能(目的)を求められる場合にお勧めの表面処理加工技術

「耐摩耗性」+「耐熱性」
「耐摩耗性」+「滑り性」
「耐摩耗性」+「耐蝕性」
「耐摩耗性」+「耐熱性」+「滑り性」
「耐摩耗性」+「耐熱性」+「耐蝕性」
「耐摩耗性」+「滑り性」+「耐蝕性」

耐摩耗性ソリューション事例

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蒲田工業をご利用いただくメリット

表面処理加工技術には製造現場で発生する問題を解決する「力」があります。
ところが、いざお客様が採用を考えると、それぞれの表面処理加工技術が細分化されていることに加え、同じ耐摩耗用途でも向き不向きがあるものが多々ございます。
どれを選んでいいかわからない
どこに相談していいかわからない
もっと適切な処理があるのではないか」と、困ってしまう事態に陥ります。

蒲田工業では、生産設備を持つ工場様に日々訪問をさせていただいております。
生産ラインのお困りごと(例えば清掃を簡略させたい、無人化させたい、歩留まりを良くしたい等)に対して総合的にご提案を行っております。
表面処理のご提案のみならず、母材となる部品の製作も行い、設備のレイアウト変更や効率化を図るための改善、それに伴う設計・製造・現地工事(管理含む)など総合的に行っております。
ぜひ、一度ご相談いただければ幸いです。