豊富工場は、シャトレーゼホールディングスにおいて菓子製造業務に携わっている工場のひとつです。
シャトレーゼとしてのレギュラー商品はシュークリーム、ショートケーキやアイスがありますが、こちらの工場では主に生ケーキ、デコレーションケーキを製造しており、菓子業全体の30%の売り上げを担っています。
洋菓子一課ライン長 荒川様… ボンブ型のケーキを作るラインに携わっています。仕事内容としては、規格通りの商品を、いかに効率よく、無駄なく生産できるかを追求することです。
アイテムによって規格が変わってくるので、人員や生産能力などその時に応じた生産体制を組む必要があります。
エンジニアリング 石橋様…
いかに大量生産に対応できる設備にするか、省人化出来るところは省人化し、省力化出来るところは省力化し、それによって商品自体の品質を向上させることを目的に、ラインに対して提案する仕事です。1階のフロア全体が担当なので、ボンブライン・デコライン・Cライン・カップライン全部に携わっています。
設備的な観点から見たときに、良い商品が作れるように手伝っていくのがエンジニアです。
1.省人化
2.品質の向上
どのアイテムも、初めての時はまず人の力でやってみて、ラインを作り、その後に生産能力を上げる検討を始めます。ですから、まずはいかに省人化できるか、そして、品質の向上が課題となります。
工程全体の中で、この工程がネックとなり生産性が上がっていませんでした。粉掛けの前後で待ち時間が発生し、スムーズな流れになっていませんでした。また、品質の面で改善する必要もありました。
1.商品を均一に生産できない(安定しない)
2.廃棄ロスが生じる
製造ラインは365日24時間稼働していますから、毎回同じ人が作業をするわけではありません。一つの商品に対して何グラム掛けるか決まっていても、人の感性は様々ですから、見栄えを良くするために掛け過ぎてしまったり、逆に少なかったりとバラツキが生じます。
作業者のやり方次第ではありますが、ボンブ型ケーキに関しては1日に2~3台、多ければ5~6台近く処分することもありました。
(ホールケーキは1台、2台と数えます)
1.ムラなく振り掛けられる
2.フレキシビリティ(多種類の粉に対応、振りかけるデザインも変えられる)
3.メンテナンス性(簡単に洗浄できる)
ココアパウダーを均等に振りかけられるという点は大前提ですが、当社はアイテムの切り替えが早いので、様々なデザインに対応できる装置を求めていました。
そして、メンテナンス性ももちろん重要です。品質管理部門で品質と菌検査を行なっていますが、万が一そこで菌が出てしまったら全部出荷できなくなります。ですからこの装置に関しても、ステンレス製で、毎日きれいに掃除できるよう可能な限り全部のパーツが外せる仕様をお願いしました。
他の業者を含め、数社に話をしましたが、一番スピーディーな対応をしていただけたのと、我々が話した内容を上手くまとめてくれたのが蒲田工業でした。
あまり良い反応ではありませんでしたね。ココアパウダーは粒子が細かいので扱いがとても難しい粉です。ですから他の業者は腰が引けていました。でも我々としてはどうしてもこの工程を自動化したかったので、何とかしようと取り組んでくれた蒲田工業にお願いしました。
実際の作業工程の観察、粉の振り方を確認し、メッシュと樹脂製回転羽を組み合わせた方式を採用。
原料自体を渡し、これだけ粒子の細かい粉をかけるのに、どれほど目の細かいメッシュが必要なのか、何度も何度もテストしてもらいました。
かなり苦労されたと思いますが、このメッシュならこれだけの量が絞れました、逆にここまで荒いメッシュならここまで出ますといったことを検証してもらい、お互いに納得できるメッシュサイズやアタッチメントの開口幅など仕様を決めていきました。
振動式では、ほんの少しの振動で粉のかかり方が変わってしまいます。目詰まりもしますし、平均的にかけられません。また振動させるということは設備的にも負荷がかかります。ですから、回転式で物理的に動かすことによって一定の粉をかける仕様が弊社に合っていました。
①省人化
②生産能力が向上
③ムラがなくなり、品質が安定
粉掛けの作業者1名を削減でき、他の必要なラインへ振り分けることが出来ました。
また、生産能力が上がりました。この装置を導入することで、約15%生産性が向上しました。
そして商品の安定性です。粉が均一に、安定してかけることが出来ているため、この粉掛けの工程での廃棄ロスはゼロになりました。
基本的にケーキには粉掛けの工程があるので、アタッチメントを取り替えることにより、他のデザインのケーキにも活用していく予定です。ココアパウダー以外にも、粉糖や抹茶粉などの振りかけにも利用していきます。
もちろん満足しています。話を進めていく中でどうしても、装置メーカーとこちらの考えにズレが生じます。たぶん、我々とメーカーだけだったら、どちらかが妥協して良いものができなかったと思いますが、営業担当の佐藤さんが間に入って上手く修正しながらまとめてくれたので良いものができたと感じています。
メーカーが「できない」と言ったらそれまでですが、我々もどうしてもゆずれない部分もありますから、無理を承知でお願いしました。
提案力、スピード化
もちろん、我々が思っていることを形にしてもらえるというのが一番です。 あとはスピードです。改善しなければならない課題を少しでも早く解決して成果につなげたいので、スピードも重要な要素です。
もしあまり来なかったり、親身に話を聞いてもらえなかったりすると私たちも声をかけなくなってします。でも佐藤さんはよく顔を出してくれる上に、こうしましょう、こんな方法もありますよという意見・提案を常に持ってきてくれます。様々な新しいアイテムの紹介もしてくれるので、私たちとしてもいろいろな引き出しができて助かっています。
これだけ親身になって一緒に取り組んでいただいているので、今後も継続してやっていただければ助かります。
当社の商品はお客様に食べていただくものなので、品質が絶対です。確かに手でやらなければいけないところもありますが、設備を入れることによってクオリティが上がるのであれば、積極的に導入していきたいと考えています。
今後も、省人化だけでなく、省力化や節電など様々な面からの提案を期待しています。