生産技術開発センターは、味の素グループの生産技術に関する研究開発を行う部署です。 新しい包装材料の開発や海外工場での技術支援や調達先(現地サプライヤー)への技術指導などの業務を行っています。
味の素グループは現在、多くの国で海外生産を行っています。「現地で生産し、現地で消費していただく」ことが味の素の海外事業の基本になります。工場のスタッフだけでなく、商品のパッケージとなる包装材料を調達するのも原則として現地の会社です。現在海外で売上が伸びているのは、東南アジア諸国やアフリカ諸国です。しかし、これらの国々は経済成長が著しいものの、まだまだ安定した生産技術を持つサプライヤーが少ないのが現状です。そこで包装基盤グループでは、技術がまだ安定しないサプライヤーに対して直接技術指導をしたり、コストダウンのための提案などを行い、海外における味の素製品の生産及び品質向上につとめています。
蒲田工業には、業務上必要となる機械、機器、サプライ用品、資材等の調達をお願いしています。蒲田工業とのおつきあいは10年前、私が前職にいたときからです。1年ほど前に転職をした際、愛着があった蒲田工業に真っ先に声をかけました。以来、何か買いたい時にはまず蒲田工業に連絡しています。蒲田工業はこちらが「こういうものが欲しい」と言うとすぐに何か提案してくれるので助かっています。
この硬さ試験機は、海外のサプライヤーへの監査(技術指導)を行う際に使用します。包装用フィルムのロールの巻きの硬さを測定し、巻き取り状態に不良がないかどうかをチェックするものです。先日もこの試験機を持って海外の印刷会社を訪問し、技術指導を行いました。
このフィルムは、現地の印刷会社でロールで商品名やロゴ、成分表示などを直接印刷した後、客先へ出荷します。しかし、ここでロールの巻きが緩かったり、硬すぎたりすると不具合が生じます。
巻きが緩いと芯の紙管からスポッと抜けてしまったり、タケノコ状態になってしまい充填機械にかけることができなくなります。また、逆に硬すぎると繰り出し時に印刷した部分が裏移りするなどで使いものになりません。印刷が取れて成分表示が見えなくなれば法律違反になってしまいます。問題なのは、使えないロールが一つでも出ると、1ロット全てが不良品である可能性を疑わなければならないことです。実際、全て不良品で生産ができなくなってしまった例もあり、大きな無駄を生んでいました。一度印刷したフィルムを均一に巻き直すというのは単純なようで難しい技術です。設備も技術も充実している日本では不良は少ないですが、海外のサプライヤーでは不具合が起きることがよくあります。
かなり前からですが、今年の2月ぐらいからよく耳に入ってくるようになりました。以前の会社でも同様の問題があったときに、硬さ試験機を初めて使いました。試験機でこのロールの複数箇所の硬さを測り、硬さが均一かどうかを調べ、均一でなければ巻き取り機械の調整を行う必要があるということがわかります。硬さ試験機が巻き具合のチェックに有効であることがわかりましたので、これを現地に持って行き検査を行おうということになりました。しかし以前の会社で使っていたその機械は大きいため、海外に持っていくとなると大変です。
いつもの通り、まず蒲田工業の佐久間さんにこの状況を話し何か良いものがないか聞きました。すると佐久間さんはこの製品(エコーチップバンビーノ)を見つけ出して提案してくれたのです。自分でもインターネットで調べてみましたが、これほど小さいものは探せませんでした。
十分に効果を発揮しています。現地のサプライヤーは、このような小さなツールで巻き取り機械の管理ができるということに驚いていました。それ以後、フィルムの硬さのばらつきについての報告はほとんど受けていません。このツールのおかげでフィルムの不良品の可能性が低くなり、現地生産をスムーズに行う体制が整いつつあります。
蒲田工業の良い点をあげると、以下3つになると思います。
一つ目は、フットワークがいいこと
声をかけるとすぐ来てくれますし、何か問い合わせると、すぐに回答していただけます。
二つ目は、こちらの立場になって考えてくれること
「こんな感じのものがありませんか?」と投げかけると、的確にこちらのニーズをくみ取って、提案をしてくれます。これはとてもありがたいです。商社の中にはこちらのニーズをよく理解していただけず、「こういうのが欲しい」と言っても「それはダメですからこっちのほうが」などと的外れな提案をしてくるところもあります。
三つ目は、情報力があること
こんなポータブルな試験機があるということは全然知りませんでした。担当の佐久間さんが、商社のネットワークである測定器メーカーからこの商品情報を得たと伺っています。インターネットの検索レベルでは、ここまでの情報はなかなかたどり着けません。
私たちは海外の仕事をしているので、海外の情報をもっといただけるといいですね。たとえば蒲田工業が直接サプライヤーにこのようなツールを提案していっていただいてもいいと思います。そうなれば私たちもとても助かります。
やはりスピードと情報量、それに尽きますね。ただ、それは会社というより担当者のスキルに寄るところも大きいのかもしれません
私が担当者に持っていて欲しいと思うのは製品知識や技術知識です。例えば、この試験機を例にとれば、ただ「測れます」というだけでは不足です。どういうメカニズムで測定しているのかという原理を説明してもらいたいと思います。「こういうやり方で測っていますから、海外のこういう状況で使っても大丈夫ですよ」というところまで言ってもらうとありがたいです。
佐久間さんはフットワークが軽くて、今回の試験機の件も、一生懸命いろんなところに問い合わせていただいたようで、結果としてベストのツールを探していただきました。また、佐久間さんの一番良いところは、わからなければわからないと言うし、後で調べますと言えばすぐに調べていただけるところだと思います。
日本と海外の生産現場では情報量も大きなギャップがありますから、蒲田工業にはこれからどんどん海外に展開していただき、グローバルパートナーとしてそのギャップを埋めていただくことを期待します。サプライヤーの技術が上がれば、それを受けとる我々にもメリットがありますし、蒲田工業さんの利益にもなる。WinWinの関係を作って行ければと思っています。
今後も引き続き、蒲田工業にはお世話になると思います。これからもどうぞよろしくお願いします。